ファーウェイが引き続き話題である。
米中経済戦争もさることながら、一般人の関心の一つは、で、今からファーウェイ買って大丈夫? だろう。
①ファーウェイ携帯のOSはどうなる?
私は日本国内はすでにわからない。
しかし、中国では没問題!(問題ない)と断言したい。
なぜなら、どうせアンドロイドOSの闇インストール屋がそこら中に出現するからである。
ファーウェイの 独自OSが開発されていることはすでに報道されている。
日本人はわかってないが、ファーウェイは戦時中の国策企業のような存在であり、中国中のありとあらゆるリソースを使えるのである。大学、研究所、他の中国企業。
これが独裁の開発力である。
ただ使い勝手がいいかどうかはまだわからない。
しかし中国では大丈夫である。
中国でスマホが出だしたとき、メーカーがさまざまな企業と提携し、いろんなソフトをOSにプリインストールしていた。販売単価を下げるためであり、契約で消せないようになっている。
正直いって、めっちゃ邪魔。
するとさすが中国、タオバオなどの携帯販売では、そういう要らないものを全部消したソフト整理版OSと、正規版が並べて同じ値段で買えるようになっていた。
私はやってないが、そのへんの修理屋さんでも20元(350円)ぐらいで全部入れ替えてくれたそうである。
今回も、鴻蒙(ファーウェイの開発中OS)とEMUI(現在のファーウェイのアンドロイドを基盤としたOS)版が、タオバオで並んで売られるかもしれない。もちろんちゃんとアップデートできるソフト付きで。
しかもそれを中国政府が取り締まることはない(ファーウェイがちゃんと開発するまで)。それが中国なのである。
②ファーウェイのスマホ製造はどうなる? 部品は調達できるの? 輸出は?
はい、これも没問題(問題なし)。
1.かなりの部品がもう自分たちで作れる。
日系企業は(そして他国の企業も)大変だーなんてシレッと言っているが、部品だけでなく、その部品の製造設備をすでにたくさん中国に売っている。
たとえば今や世界最大の液晶メーカーとなった京東方(BOE)。ここに液晶のコア設備を入れているのはニコンとキャノンである。
工場では、引き抜いた韓国の技術者、日本人の技術者がたくさん働いている。
超ハイエンド部品は別だが、それだって方法がある。
2.三角貿易(迂回輸出入)でなんとかなる。
たとえば日本→中国への部品輸出がアメリカ様に制限されたとする。
だけど日本→ベトナム→中国は合法である。
あ、イヤ、知ってやっちゃいけませんよ、だけどベトナムの谷崎貿易(否実在)がベトナム国内卸業者に売るのは合法。そっから先って誰もわからない…。
当たり前だが、中国側の輸入でひっかかることはない。
そもそも香港が昔なぜ栄えたか。
建国から90年代初頭まで、中国はかなり鎖国状態であり、対外貿易を制限していた。で、唯一この窓口をやっていたのが香港だからである。
で、その利権を押さえて儲けていたのが中国政府である。この頃から香港経由で中国に売っていた日本企業もけっこうある……。
私は元商社勤務だが、香港でのシッピングマーク(箱の外装の表示)の書き換えは当時からよく聞いた。正式に通関を通さず、近所の沿岸で水揚げしてしまうのである。
今はもっとスマートだろう。
さらにスマートにやるなら、製品の生産地そのものを中国外にすればいいのである。他の国から輸出すれば関税制裁にもひっかからない。
やるだろうな、とずっと思っていたら、ちゃんと調べていた記事があった。
ファーウェイはすでに日本に工場をもっているが、そのうち日本で生産したスマホを、他国に輸出するかもしれない。
メイドインジャパンである。
というか、法律的には、中国or他国で製造した中身をもってきて、最後に外枠をかぶせる的ちょっと加工でメイドインジャパンになる(服とか食品はそうだった。だいぶ規制ができた)。
③中国国内販売で生きていけるファーウェイ
ここでクールにファーウェイの実態を見てみよう。
売上はすでに11兆6000億円(ファーウェイ・ジャパン ホームページより。2018年)。
日本企業でこれより多いのは、トヨタ、ホンダ、日本郵政、日産、日本電信電話の5社のみ。あとは日立もソフトバンクも三菱UFJも全部ファーウェイ以下である。
2018年 日本企業 売上高 ランキング | Stockclip
で、そもそもファーウェイは中国国内販売が半分で、アメリカは売上の2割である。
売り先は新興国とか旧共産圏が多いわけで、アメリカとの戦いは大変なことは大変だが屋台骨を揺るがすほどのものではない。
さらに携帯の売上は、全体の半分で、中国国内:国外の売上比率は6:4。
そもそも中国では民営企業と国営企業の区別ははっきりしない。
中国人いわく「すべて同じ党のもとに愛国で団結する!」。
いいですか。中国において愛国とはこういうふうに使うのである。
ましてファーウェイは国のインフラ通信事業をたくさん受けており、国策企業でつぶれるわけがないのである(別の意味の政府による”つぶし”の可能性は将来ゼロとはいえないが、外国の経済制裁ごときで”つぶれる”ことはない。あるのは乗っ取りである)。
アメリカとの対立が激化してから、中国はCCTVから抖音(TikTok)まであらゆるメディアを総動員して、任氏のインタビューやら関連会社社長が社員に送ったメールの紹介やら、ありとあらゆるファーウェイ・アゲアゲをやっている。これがすなわち国策企業たるゆえんである。
そのうち軍人と官は全員ファーウェイの携帯を買えとかいい出すかもしれない。今もアピールはやっている(それでも携帯事業の国内販売は売上の3割でたいしたことはない)。
そしてファーウェイの社員が、いっしょに雄叫びを上げるのも、つぶれないとわかっているから。中国人は危なければ逃げ足は早い。
そして国外への宣伝工作も、建国以来の歴史がある。自分たちでいわず第三者に誤解であれ、感動であれ、接触して言わすのもうまい。
いやー、私も実はファーウェイから1000万元ほどの振込と取材用プライベートジェットの提供が……、ない。
それどこか、北京の携帯売り場に行って、販売員に、
「华为(ファーウェイ)、OSが使えなくなるというけど、今、買ってだいじょうぶ?」と聞いて、
「だいじょうぶよ! フン! あんた、うるさいわね!」と逆ギレされているのである。
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