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北京20年目の作家・谷崎光が中国とアジアの本当”をお伝えします。ときどきゲストも!

中国のニセモノ専門!? ECサイト”拼多多”が、アメリカで上場までできる本当の理由(中国知財最前線)

今回は中国の知財管理専門家、清華大学法学博士の小林正弘さんにご寄稿いただきました。小林正弘さんは2008年から北京在住。現在、中国の知財管理業務の最前線で、日本企業のブランド保護などのお仕事をされています。翻訳書に《法律家莎士比亚》(法律出版社)など。

 

「拼多多」(ピンドォードォー)は、まだ日本ではあまり知名度はありませんが、中国在住者ならピンとくるECサイト。すでにナスダック上場一年になります。

テンセントが投資をしており、勢力を伸ばしだしたときは、スマホのウイチャット(テンセントのSNS)から、しょっちゅう拼多多のミニプログラムインスールアピールがあり大変でした。しかしこれだと広告費もかからず中国全土の個人に直接宣伝できるわけです。しかしその実態は……。小林さん、よろしく!

   

ニセモノ専門ECサイト「拼多多」!?

 

 「拼多多(ピンドォードォー)」というJD.COM、Taobaoに続く第三のECサイトをご存知だろうか。

 「拼多多」のユーザーは4億を超え、2018年7月に創業3年にしてアメリカナスダックでの上場を果たした。「拼多多」の最大の特徴は取扱商品の圧倒的な安さにある。例えば32インチテレビは一台500元、SNS等を通じ共同購入するとさらに価格は安くなる。

 

  「拼多多」の急成長の主な要因として、地方低所得者層をターゲットにした模倣品販売放置(例えば、小米有品、SHARP、雪碧のパクリである「小米新品」、「shrap」、「雷碧」等)のビジネスモデルがあげられる。

 

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(実はTOUSDAは拼多多では車椅子ブランドになってたんですが…。なんかもうわけわからず。谷崎)

 

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(日本製をうたった商品も多い。市価の三分の一の値段からして、たぶん偽物の無印良品化粧品 谷崎)

 

中国の80%の家庭の一人当たりの平均収入は3000元を下回っており、「拼多多」ユーザーの57%は3級以下の地方都市で占められている。

 

 低所得者層は十分なニセモノ識別能力を備えているとはいえず、低価格の模倣品を本物と信じて購入した消費者も相当数に上ると推測される。

TOUSDAとTOSHIBAの区別がつかない、またこういう傷跡の写真も本物と信じてしまう……層が、もう消えたと思っても田舎だとまだまだ沢山いるのが中国。いまだパチもんでも商売になる国が、中国の中に、もうひとつ、ふたつ?!あるわけですね。「小米新品」は確実にやられると思う。

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模倣される側のメーカーにとっても被害は甚大である。模倣品により正規品のシェアが奪われるだけでなく、模倣品の粗悪な品質によるブランドイメージ低下は避け難い。

 

 

 このビジネスモデルは社会の各方面から厳しく批判され、そのプラットホーム管理責任が追及されている。

 

 

 国内および上場先のアメリカで多数の訴訟が提起された他、中国政府関係部門も監督・摘発に動き出した(2018年8月8日、国家知識産権局は、拼多多を直接名指し、4ヶ月間のEC分野の特別摘発キャンペーンの実施を発表)。

 

 8月22日、拼多多は1128店舗を強制閉鎖し、430万件近くの商品を削除し、模倣商品と疑われる商品リンクを45万個を遮断したと発表したが、依然として多数の模倣品が存在している。

 

 2018年8月30日時点での拼多多の株価は17.99ドルで、株式発行価格の19ドルを下回っており、株式発行初日に296億ドルに達した時価総額は、200億ドルを割っている。

 2019年7月21日の株価終値は20.19ドル、時価総額は233.05億。

 早くも正念場を迎えた「拼多多」は、果たして模倣品の徹底的な排除に踏み切ることが出来るのだろうか。

 

上場はしたが、株が上がっているわけではないんですね。小林さん、ありがとうございました!

 

すげーと思ったのは、そのニセモノだらけのままとにかく上場はし、非難をされながら、さらにユーザーを伸ばしていること。いやぁ……

「拼多多」(ピンドォードォー)自体はまだ赤字ですが、実はここを利用しこの三線都市の市場を掴んで伸びている日本企業もあります。やるね!