InsideAsia

北京20年目の作家・谷崎光が中国とアジアの本当”をお伝えします。ときどきゲストも!

当たりはスマホ!? 中国で流行る”福袋”自販機

「オレ、スマホ新しくするから」

「またぁ? 外れるよ」

 

中国・北京。巨大ショッピングモールの中で、若者数人のグループが盛り上がっている。

一人が近づいて、スマホで支払いをした。

ガタンと音がして、プレゼント仕様で包まれた箱が出てくる。

皆で大騒ぎしながら箱を開けると出てきたのはシャンプーだった。

がっかりする青年……。

 

「同僚はこないだ、本当にスマホ当たったんだよ! いいよ、オレ、運を他に使う!」

皆で爆笑し、もりあがっている。

 

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こういうプレゼント仕様になっている自販機も。撮影 筆者

自販機の名前は、『ラッキーボックス』。

今、中国ではやっているのがこういう射幸性、またはゲーム性のある自販機である。

 

百花繚乱の自販機

 

数年前に北京で飲み物の自販機を見かけたと思ったら、あっという間に種類が増えた。

今はこういう生花を売るものまである。

花はちゃんと定期的に入れ替えられている。

 

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生花自動販売機。価格は300円から1000円ぐらいまで花によって違う。スマホ支払い。筆者撮影

 

薬販売からマスク専門、食品、日本では食品衛生法の関係でぜったい不可な生ジュース絞りまで本当に多種多様にあるが、その中で、着実に数を増やしているのが、こういう「当たりもの系」「ゲーム系」のものだろうか。

 

中国の自販機は最初から大型パネルがついていた。

なぜかというと当時の自販機NO1のベンチャー、友宝の創始者の青年が、「オフィスにおけて、ネットに繋がるゲーム機を開発したい。ゲーム機は会社はダメだから自販機にする」という発想で開発したからである。

 

初期は、なぜ自販機に? の大型パネルで、さまざまな割引もおこなっていた。

そして今は当初の目論見通り本格的なゲームや、広告のスペースになっている。

 

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パネルには広告が展示される。筆者撮影

 そしてここ一年ぐらいよく見かけるのが、この口紅の自動販売機である。

この自販機の大型パネルは広告だが、ゲームになっているものも多い。勝てば勝つほど、高い口紅が選べたりする。

 

外から見るとわからないのだが、実は中国の自販機の多くは、日本の自販機メーカーの中国の工場が作っている。シェアは2017年で中国全自販機の7割だった。

北京の地下鉄で見かける友宝というメーカーの飲み物自販機はほぼそうである。

 

今は中国の自販機自体が多様化しており、中国メーカーももっと参入している。

2017年に、中国の自販機事情を取材したおりに、関係の中国人たちいわく、

「ルーレットなどがついたものがいい。中国人はそういうことが好きなんだよ」

と、言っており、実際、すぐに液晶パネルにルーレットがあるものが開発されていた。

 

そしてそれが今は進化して、初期、ベンチャー創業者ののぞみ通りに本格的なゲームのついたものや、先にあげた福袋的なものも出てきたのである。

中国人は柔軟である。

 

そしてもし冒頭の、福袋自販機でスマホが当たったら……。

ハイ、これは中古携帯引取”自販機”である。

携帯を入れ、査定が済めば、逆にお金が出てくる。

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中古携帯回収機。自動査定ですぐ現金化か最寄り店で査定か選べる。筆者撮影。

中国は日々進化しているのである。