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北京20年目の作家・谷崎光が中国とアジアの本当”をお伝えします。ときどきゲストも!

新型コロナウイルス感染症対策 中国在住の作家が教える本当に効果のあった方法。【谷崎光のインサイドアジア 特別無料公開】

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防護服に身を包む中国のスーパーのレジ係

新型コロナウイルス感染症が日本でも広がってきたようなので、noteの月刊谷崎光のインサイド・アジアの2月分の記事の一本を、今回期間限定で無料公開します。

note.com

2020年3月1日現在(注:サイトへの投稿時)、中国では、湖北省以外の患者は激減し収束に向かっています。在住者からすれば、「そりゃ、ここまでやればおさまるわ」ぐらいの措置でした。
以下、ご参考になれば幸いです。

個人、家庭での対策(中国でも家庭内、または共同生活者の感染が数多く起こっている)

1.マスクをしないと、マンションの敷地内の外出も不可になった。外でマスクをしていない場合は捕まる! 

マスクは中国では使い捨てのサージカルマスク(医療用のウイルスを阻止する素材が挟まれているもの)が一番効果が高いとされている。
また中国政府は、マスクのアルコール消毒や熱を加えての再利用は、表面加工が溶け、ウイルスを防ぐ効果が低くなるとアナウンスしている。

2.帰宅後手洗い。顔も洗う。汚れた手で目や口、鼻を触らない。手洗い後、手のアルコール消毒。

3.目からの飛沫感染も指摘されている。プラスチック製のゴーグルや、簡易対策としてメガネをする人もいる。

4.コート、バッグ等は毎回消毒できなければ、しばらく居室外に放置。
公安等、患者もいる可能性のある不特定多数に会う人は、使い捨てレインコートを着ていることもある。
現在、一部スーパーでも防御服を着ている。

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5.体温計の準備。

6.家の消毒 使うのは、漂白剤を薄めたものや消毒用アルコール(この二種類を混ぜては絶対にいけない)、Dettolなどの消毒剤。
毎日やる場所も多いので入手が簡単でコストも気兼ねなく使えることが肝心。
家族内で感染しないように、手の触れるドアノブ、レンジ、キーボード、スマホ、帰ったときの靴、台所、床等を消毒する。

7.トイレ 蓋をして流す(香港政府の指導。ウイルスが飛び散る。上下階等へのエアロゾル感染を防ぐ)。水を流すボタン等の消毒。外でのウオッシュレット使用はやめたほうがいい。海外では感染を恐れて外では便座にも座らない人が多い(エボラ熱菌等は皮膚のささいな傷から侵入する。排泄物にウイルスがいるため、感染症流行時の公共トイレ使用は不推奨)。

8.家の換気(万一、家にウイルスがあっても濃度が下がる)。

9.外出時は手袋をする。使い捨てが便利。毛糸でもOK。ウイルスの含まれた飛沫に直接触らないことが肝心。感染症の専門家も手術用のゴム手袋を外出にしている。アルコールスプレーと消毒ティッシュの携帯。

10.必要資材の調達 消毒薬、マスク以外にティッシュ、ペーパータオルなど(なくても古着を切ったもの等で代用可能なので焦らない)。食品、水のまとめ買い。

11.もし家族が発熱等したら、可能なら看病するのは一人に決める。両者マスク着用。

12.できるだけ公共の乗り物に乗らない。自動車も手の触れるところは消毒する。

13.できる限り外出しない。人混みにいかない。集まらない。通気の悪い地下のスーパーや商店にいかない。

14.エレベーターなど、不特定多数の人が触るスイッチに素手で触らない。

15.飛沫感染を避けるため、人と話すときは1メートル以上離れる。

16.自炊奨励。デリバリーによるレストランの従業員からの感染を防ぐ。基本、火を通したものを食べる。  

マンション、住宅エリア
17.外地や外国から帰ってきた人の二週間隔離、自宅待機。
(2020年3月31日追記。現在は外国からの中国入国を禁止している)

18.エリアを閉鎖して出入り口を一つにしぼり、体温測定。

19.出入りカード発行で人の出入りを制限。

20.来客は基本、禁止。

21.ゴミや入口、エレベーター、手すりの消毒。

22.流行期の外出制限(地域によるが一家で二日に一回一人が買い物等。北京は基本なかった)。

23.宅配便の”無接触受け取り” マンションの入り口等で場所を決めて荷物を置き直接受け取らない。

24.政府によるマンションや居住地区管理人の増員! 清掃、消毒、体温測定など。さらに隠れている患者、発熱者に対する密告奨励!もあった。

学校、会社など
25.春節休暇の延長。

26.学校は基本的に、3月、4月まで休校。オンライン授業。

27.会社も、できるだけリモートワークをするように指導。出勤はもちろんマスク。中国では会社がマスクを準備する。準備できない場合は、オフィスのオープンが許可されない。

 

娯楽

28.ネット、スマホで大量の無料の学習教材、及び娯楽コンテンツを提供。

街と活動

29.集会、イベントは基本、禁止。

30.観光地はすべて閉鎖。

31.宗教的集まりも禁止(韓国はこれで発生)。

32.レストランは基本多くが閉店。集まっての食事も禁止。
(2020年3月31日追記。現在は北京でもかなりのレストランが営業を再開している。数人での食事もOKになった。ただし入店時のチェックは変わらない)

33.もし開店の場合はマスク、体温測定、手の消毒、連絡先等登記で入店。スーパー等も入店に体温測定が必要。

34.その場合もテーブルを囲むのではなく一人づつ食事 早めに閉店。

35.治安の強化。人員の増強、発熱逃亡者の捕獲!!!

36.出稼ぎ者の不衛生な闇住居の摘発……。  

オフィスビル管理
37.空調の禁止(一人いたら、ウイルスが蔓延する)。各スイッチ、デスク等の消毒。

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38.社員食堂の禁止。または一人づつ離れて食べる。厳格な規定がある。

39.出入り口を一箇所にし入ビル時に体温測定、ビルによっては管理者が体温測定にくる。本人ID確認の徹底。

40.出勤させる場合は離れて座らせるように指導。

経済的配慮(全地域、全企業ではないがかなり浸透している)

41.政府は、企業へ休暇中も従業員に賃金を払うように指導。

42.ディベロッパー、不動産会社、家主などに働きかけ、中国全土の多数の場所でオフィス、商店、一部住宅の家賃を1,2ヶ月免除。

43.中小企業へは、従業員の年金等社会福祉費用の免除や支払い延長。

44.一部の住宅ローン支払いの延長を認めるように指導。

公共交通機関と高速道路
45.初期に武漢からの高速鉄道、バス、高速道路の運行を禁止した。

46.タクシー、バス、(可能な列車でも)は窓を開ける。列車、地下鉄は毎日消毒する。

47.駅、空港などで体温測定。高熱者の入場禁止。駅や空港によっては過去、感染地やその付近に行った人の入場禁止。

48.身分証で乗客の実名確保(基本的には勤務先、住所など全部わかる)。

49.バス、地下鉄等もスマホアプリで支払えば、誰が乗ったか特定できる。

50.高速道路での検問、体温測定。一部封鎖。

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医療
51.発熱については専門外来を多数特設、指定。スマホで案内している。検査は現在は基本すぐにできる。

52.今回の肺炎の医療費は無料(表向き)。
北京も含め、中国全土で院内感染が多数発生した。中国は現在は診察は奨励しているが、よほど高熱でなければ、病院にいかないというのは正しい。
密接接触者や共同生活者の隔離もある。

スマホアプリによる国民への情報提供
53.中国全土の毎日の患者数の増減報告。

54.自分の近くの患者マップ! 発生マンション名、建物などの公開(ただし全部ではない)。

55.患者の行動軌跡の公表! 私はこれを見てあるショピングモールに行くのをやめた。モールの経済損失は大きいが、感染を防ぐには非常に有効。

56.自分と患者との乗り物同乗やニアミスを調査できる(と、いうことは、こ、怖すぎ)。

57.中国全土の移動者のビジュアル化。  

 

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国外向け
58.中国人団体観光客ツアーの禁止、キャンセル。

59.海外からの帰国者、外国人の空港からの公共交通機関利用禁止、送迎あり、二週間隔離開始(エリアによる)。
(2020年3月31日追記。現在は外国からの中国入国を禁止している)

関連物資の生産、流通、販売
60.マスクの民間工場での業種転換生産。

61.医療用保護服の軍需工場での生産。

62.消毒薬の民間特注工場での生産。

63.不法値上げ、偽物の取締り。

64.パニックが起こらないように、食品、水についてはスーパーから切らさないように指導。これで都市部の物不足のパニックはほとんど起こらなかった。

65.都市のスーパーは旧正月の2日を除いて営業持続させた。

発生地、武漢
66.問答無用の突然閉鎖。交通遮断。脱出禁止(をくぐって多数脱出。これの捕獲!劇があった)。

67.病院建設。病人を病院に集中させた(実際は家で多数死亡している)。

68.病人の隔離。隠蔽。遺体の密封速攻焼却(遺族は会えないことも多い)。

69.軍の支援。日本でも報道された”10日で建った病院”は、軍の支援で建てられている。支援に行った医師や看護婦も軍の病院関係者が多い。

武漢周辺の農村、または中国全土の多数の農村、镇(村と町の間程度の小さな集落)
70.封鎖。自主封鎖。自治。交通手段の遮断。食料の不足。病院はないことも多い。

その他
71.アプリでデマや噂の真偽を即時公表。

72.春節後の出勤が始まっても、企業に一度に多数出勤させない。

73.都市に一度に多数、出稼ぎ者、勤務者を戻らせない。

74.開店を始めた飲食店等に、座席間の距離、空調の停止等を指導。

75.以上を、政府、メディア、住宅管理部、職場の責任者や経営者、警察、公安、農村の党組織、IT企業、その他すべての中国企業を使って徹底させた。

 

追加
76.薬局での解熱薬の購入を実名登録制にした。

77.マスクの行政による販売管理。自分の居住区で身分証明を見せて一日10枚など買えるようになった。

一般人のポイントは、
保菌者からの唾液飛沫等による感染を避ける。つるつるしたものの上でウイルスは長生き。
②ウイルスは保菌者の排泄物にも生息
誰が保菌者かわからないから、不特定多数との(近距離)接触をできる限り避ける。

結局のところ、ウイルスは髪にも服にもつくが、大量に浴びる医療関係者でないかぎり、過剰に神経質になることもないかと思う。

今回、春節で都市への出稼ぎ者が帰郷したところで、武漢が封鎖され、帰郷が制限された。
都市住民、または都市で大手企業に勤務先を持つホワイトカラーなどは行動を制限されたものの、特に大きな被害もなく乗り越えられた。一方、レストランや小売商店などは大打撃。武漢とその周辺の農村、小都市は大打撃。悲惨な話が蔓延している。正規でない工場勤務者なども打撃。

ECサイトは引き続き大好調。
現在、中国が肺炎になりマスクがいると、日本でなくなるという関係になってしまった。本当は中国生産が多いからね。(2020年3月31日追記 現在は逆の状況になっているのは皆さん、ご存知の通り)
中国、早く経済回復をしてほしい。

イラストは中国広西省自治区の広報ポスターより。

筆者について

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新卒でダイエーと中国の商社勤務→文藝春秋の受付に原稿を持ち込み96年作家デビュー→2001年から北京大学留学を経て現在も北京在住コロナウイルス騒動の間もずっと北京でした)。

著書は松竹で映画化の『中国てなもんや商社』(文藝春秋)『男脳中国 女脳日本』(集英社インター)中国へ渡る技術者を描いた『日本人の値段』(小学館)など20冊。中国モノ記事PV、NO1筆者です。ダイヤモンド・オンラインで発表した「中国人が絶対言わない日本旅行の意外な本音」を読んでくださった方も多いのでは。

著書:amzn.to/2YnyA9U

noteはurx.blue/QnQH #中国 #海外在住

 

 

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中国物記事 PVNO1 筆者
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